極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
ドキッとして、さらに耳を澄ませる。
『昨日、その女性から伝えたいことがあるとメッセージが入りました。……おそらくプロポーズの返事でしょう。なんとしても帰り、その返事を聞かなくてはなりません。私だけではなく、皆様を愛する人の元に返すのが私の使命です。絶対に皆様を安全に地上へお連れします』
訓練しているとはいえ、翔自身もきっと恐怖と戦っていただろう。気丈に操縦桿を握りながら死も頭を過ったに違いない。
そんな状況下で彼の生への執着になったのが自分だったのだと思い知り、胸の奥が熱くなる。
事故の日、帰還した翔の姿を見られたときの感動が蘇ってきた。
「美羽、愛されてるね」
「うん……」
萌子に「ありがとう」とスマートフォンを返す。
翔に離婚前提の結婚を申し込まれたときには、こんなに幸せな日が来るとは思いもしなかった。予定通りに離婚して、以前の生活に戻ることになんの疑いも持たずに。