極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
(なんて突拍子もないことを考える人なの。契約結婚だなんて……)
それも離婚前提ときた。驚き過ぎて、口を開いても声が出てこない。
とはいえ、これから恋人を作っていたら大晴の結婚は遠のくばかり。今すぐ紹介するどころか、美羽の婚活が成功するかどうかも怪しい。
変わるのは戸籍と住む場所だけ。それ以外は独身のときと変わらないというのなら……。
ひとときだけ大晴を安心させられれば十分かもしれない。
彼の提案のほうに振り子が大きく傾く。
尋常ではない話だが、ほかの手立てを考えれば美羽にとって都合がいい。
「いい話だと思うけど、キミはそう思わない?」
翔が真っすぐに美羽を見据える。
ふたりの間に愛はない。あるのはお互いの利害のみ。
でも彼を逃したら、美羽はきっと悔いるだろう。
居住まいを正して軽く息を吐き出す。膝の上に両手を揃えた。
「そのお話、お受けいたします」
美羽が答えた瞬間、翔がホッとしたように肩を上下させる。