極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「ただ、ひとつお願いしてもいいでしょうか」
なに?といった表情で翔が先を促す。
大きな山場である結婚が決まったのだ、これ以上に難しいお願いはないだろうと、どことなく余裕のある感じだ。
「この結婚は会社では内密にしていただけませんか?」
これはとても重要なお願いだ。
翔が目をパチッとまたたかせる。
「どうして?」
「本郷さんが結婚するというだけでセンセーショナルなのに、その相手が私だとみんなが知ったら大変な事態になってしまいます」
働きづらくなるのは間違いない。もっと悪いほうに考えたら、会社にいられなくなる可能性だってある。
「そんなことはないと思うけど?」
翔がクスッと笑う。
自分の立場がわかっていないか、自分が回りからどう見られているのかわかっていないかのどちらかだ。
「それができないのなら、このお話はお受けできません」