極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
多くの女子の憧れの的である翔が、美羽のように平凡な女にキスしたり抱いたりしたいと思うはずがない。その場のムードに流されただけだ。
そう思うのと裏腹に、昨夜の翔の艶っぽい声と言葉を思い出して顔がカーッと熱くなる。
『美羽、キミを抱きたい』
翔がそんなふうに思うはずがない。きっとなにかの間違いだ。
その声を断ち切るように頭をぶんぶん振っていたら、翔から「ん……」と声が漏れた。
(今、翔さんが目を覚ましたら、どんな顔をしたらいいの?)
なにもなかったように〝おはよう〟なんて言えない。というか、顔も見られない。
それなら今すぐここから出よう。彼が目を覚ます前にこの部屋から。
半分パニックも同然だった。
転がるようにベッドを下り、急いで支度をしてホテルの部屋を飛び出す。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう……)