極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
そんな言葉が頭の中を渦巻くのに、思い出すのはふたりで過ごした濃密な時間のことばかり。
彼とひとつになった瞬間、たとえようのない幸せを感じたのはどうしてなのか。その反面、胸がチリチリと焼けつくように痛いのもどうして。
複雑な心境でマンションに帰り着き、自室に引きこもる。
翔が帰宅したのは、それから二時間ほど経った頃だった。
ノックの音とともに「美羽」と呼ぶ声がドアの向こうからしたが、ベッドで頭から布団を被って眠っているふりを決め込む。
彼が無理やり入ってくる気配はなく、しばらくしたらドアの向こうは静かになった。
その日は自室からほとんど出ず仕舞い。
彼とは顔を合わせずに過ごした翌朝、翔はバンコク行きのフライトに旅立った。