極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
――というのは大きく外れ、またたく間に朝が来た。
翔の提案とおやすみのキスが美羽を絶対に眠らせてはくれないだろう。
そう予想していたのに、目を閉じたが最後、スーッとそのまま眠りにつき、あっという間に朝になっていた。
彼が淹れてくれたカモミールティーのおかげなのか、はたまた美羽の精神力がタフなのか。目覚めはすっきり、久しぶりに快適な睡眠だった。
身支度を終え、ひとりで朝食を済ませる。
翔が起きてきたらどうしようかハラハラしたが、彼はまだぐっすり眠っているようだった。昨日までバンコクだったから、今日から数日はオフだろう。
ところが、彼はまだ寝ているだろうという予想も見事に外れた。
出勤しようと玄関でパンプスを履いていたら突然ドアが開き、翔が入ってきたのだ。上下とも黒のトレーニングウエアを着ていた。
「お、おはようございます」
目を合わせられず、視線があちこちに彷徨う。パーティーに引き続き昨夜の一件まで加わったため、あからさまに挙動が不審だ。
「おはよう。昨夜はよく眠れた?」
「はい……」