極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
エレガントなピンクベージュのジャケットに赤いラインが入った濃紺のスカートを穿き、首元には大判のスカーフ。
最初の頃は制服に着られているような初々しさがあった美羽も、四年目となればすっかり着こなせるようになったと言っていいだろう。
スカーフを結ぶのに手間取っていた新入社員の頃を懐かしむ余裕も出てきた。
飛行機を好きなだけ見られる展望デッキは美羽のお気に入りの場所で、雨や雪が降らない限りランチタイムを過ごす場として定番である。
最初のうちは同期の仲間もそこで一緒に食べていたが、夏になり暑さが厳しくなるとひとり抜け、ふたり抜け、気づけば美羽ひとりになっていた。もちろん仲間外れにされているわけではなく、コミュニケーション能力が極端に低いわけでもない。
天気が悪ければ、同期の仲間や同僚たちと休憩室や空港内のレストランで一緒に食べるときもある。
(でもやっぱり、こうして飛行機を見ながらのランチはなによりも格別だな……)
お弁当を食べるのも忘れて目を輝かせ、美しい機体が轟音を上げて飛び立っていくのに見入っていると、ふと美羽の隣に影が差した。
顔を上げて思わず「えっ」と声が漏れる。真横に精悍な壁がそびえ立った。
(どうして本郷さんがこんなところに……?)