極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

バッグを持ち、黒いノーカラーのコートを腕に掛け、スマートフォンを耳にあてながらリビングに向かう。


《元気よ。お父さんはまだ仕事だけどね》


咄嗟に壁掛け時計を見ながらバッグとコートをソファに置いた。

日本より十四時間遅れのマサチューセッツはただ今、夕方の五時半だ。


《そうそう、美羽が送ってくれた日本酒、無事に届いたわ。いつもありがとうね。お父さんも喜んでる》


日本酒好きの父のために美羽は時々、国際郵便で好みの銘柄を送っている。向こうでも日本酒は手に入るが、好きな銘柄は売っていないという。たまに〝これがいい〟とメッセージで一覧を送ってよこすこともある。


「あまり飲み過ぎないように言ってね」


六十歳も間近。度を越えた飲み方は禁物だ。


《もちろん、わかってるわよ。ところで翔さんとはうまくやってるの? ケンカとかしてない?》
「し、してないから心配しないで」
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