極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

翔の話題を出されると、反射的にパーティーの夜のことやガラッと変わったふたりの関係を思い起こして気が気でない。


《それならいいけど。大晴たちの結婚式で翔さんに会うのも楽しみだわ》


その結婚式が無事に済めば、美羽たちには離婚が待っている。
そう考えると胃がキリキリと痛むのはなぜか。

美羽の両親に翔が対面したのは、結婚の許しを乞うためにしたテレビ電話だけ。それ以降は電話でのやり取りしかしていないのに、両親は翔をとても気に入ってしまった。

でもそれも無理はないだろう。容姿や肩書は言うまでもなく、そつのない紳士的な彼に嫌な感情を抱く人はそうそういない。

契約満了を迎えて離婚となったら、全面的に美羽に非があると思われるのは簡単に予想がつく。そして盛大に悲しまれることも。


「これから出勤だからそろそろ切るね」


いよいよ電話を切ろうかというところで、同じく身支度を終えた翔がリビングへ現れた。
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