極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
ボタンダウンのホワイトシャツの上にハイゲージの黒いVネックセーターを合わせ、シルエットが美しいベージュのストレッチパンツを着た彼は、今日も麗しい姿だ。
美羽が電話していることに気づき、〝誰?〟といった目線を送ってよこす。〝母です〟と口パクで答えたら、彼は手のひらを上に向けて美羽に伸ばしてきた。電話を代わってほしいという。
「お母さん、翔さんにちょっと代わるね」
《あらっ、翔さん?》
途端に声が弾む。うれしそうなのが丸わかりだ。
翔は美羽が手渡したスマートフォンを耳にあてた。
「お義母様、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか? ……そうですか、それはよかったです」
芳江のうれしそうな声が微かに漏れ聞こえてくる。テンションの高さは声のトーンからもわかった。
「まだ寒い日は続きますから、どうぞお体をご自愛ください。……ええ、もちろんです。美羽さんのことはどうぞ僕にお任せください」
親を相手にしたときのお決まりのフレーズだとわかっていても、最後のひと言に心が乱される。
簡単すぎる自分が情けない。