極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

夫婦でいるのはあと少しだ。


「はい、では失礼します」


通話を切り、翔はスマートフォンを美羽に返してよこした。


「お義母様、お元気そうだね」
「翔さんとしゃべったから余計ですね」
「まだボロは出してないから」
「翔さんにボロなんてあるんですか?」


そんなところがあるのなら見てみたい。


「あるよ。まだ美羽にも見せていない真っ黒な部分が」


眉間に皺を寄せ、目を細める。悪者ぶった表情をしているつもりらしいが、美しい顔立ちを毒するまではいかない。
そもそも彼にはダークサイドなんてないだろうから、悪く見せるのは無理なのだ。


「そろそろ出ようか」


ヘリンボーン柄のチェスターコートを羽織り、玄関へ向かう翔を美羽も追う。
< 96 / 283 >

この作品をシェア

pagetop