極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
夫婦でいるのはあと少しだ。
「はい、では失礼します」
通話を切り、翔はスマートフォンを美羽に返してよこした。
「お義母様、お元気そうだね」
「翔さんとしゃべったから余計ですね」
「まだボロは出してないから」
「翔さんにボロなんてあるんですか?」
そんなところがあるのなら見てみたい。
「あるよ。まだ美羽にも見せていない真っ黒な部分が」
眉間に皺を寄せ、目を細める。悪者ぶった表情をしているつもりらしいが、美しい顔立ちを毒するまではいかない。
そもそも彼にはダークサイドなんてないだろうから、悪く見せるのは無理なのだ。
「そろそろ出ようか」
ヘリンボーン柄のチェスターコートを羽織り、玄関へ向かう翔を美羽も追う。