私の推しは世界一!!
「……。気にしないでください。」


「……。」


うわっ。マジか。

気にしてる。絶対に気にしてる!!



「気にしてるよね……?」


「……。してません。」


「えー!!絶対気にしてるっ!!」


「気にしてません!!」


「気にしてる!!」


「気にしてません!!

 そんなに気になるのでしたら、」


「でしたら?」


「リオングッズ返してください。」


「あー!!ウソウソ!!分かってる分かってる!!

 ホントはなんっっにも思ってないよねー!!

 知ってた!!

 うん。知ってたよ!!」


「なら良かったです。」



ニコリと笑うその顔に呆れてしまう。

意地っ張りめ!!

このこと、ずっと覚えているからね(涙)!!


「へーんだ。」


この意地っ張りー。


ちょっとだけイラッときて、利穏くんを置いてさっさと歩いた。


「センパイってなんか、素直じゃないですね。」


前を歩いていて利穏くんの顔は分からなかったけど、

からかっているようになんとなく感じた。


「なんでそういうことになったかはしらないけど、めっちゃ素直じゃん!?

私!!」


「そうですか?」


「利穏くんこそ素直じゃないじゃん!!」


「そうですか?」


「そうだよ!」



ホントに利穏くんは素直じゃない!!


私のことバカにするし、

すぐ揚げ足とろうとする。


ムカつくし、ムカつくし、ムカつく!!



「やっぱり、利穏くんは素直じゃない!!

 可愛くない!!」


「その言葉、そっくりそのままお返しします。」


「じゃあ、私もその言葉を返す!!」


「残念ですが、それは無効です。

 俺が先に使いましたから!」


ドヤっていう効果音が聞こえてきそうな声に、

またムッとしてきた。


思わず振り返るほど。


そして、それが……。罠だった。


「利穏くんって!もう、ムギュッ!?」


「プッ……。」





まさか……。

利穏くんが……。
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