棗ちゃんはステキな恋がしたい
「……は?」
「なによ。言っとくけどあたしのお兄ちゃん――ヤバい人と繋がってるから」
ヤバい?
それでも一般人でしょ?
「てか。仮屋いまいくら持ってる? 橋本の財布ろくに金入ってなくて。このあと遊びに行けないんだよね~」
「そうそう。もうコンビニで使いきっちゃった」
橋本さんのお金で、ジュース飲んでたの?
「とりあえず3万くらい貸してくんない?」
「そうだ。そしたらクラスの子たちとも仲良くさせてあげる」
「もうトモダチだよね。あたしたち」
…………トモダチ?
「ちがう」
わたしは、あなたたちのトモダチじゃない。
「トモダチはお金で買うものじゃないし。あなたたちとは仲良くしたくない」
「だまれ!」
立ち上がった溝口さんに、胸ぐらをつかまれる。