棗ちゃんはステキな恋がしたい


――――まずい



「泣かせてやるよ!」



これ以上は、坂田が黙って見てるとは思えない。



――――やむを得ない



「いたっ……!」



わたしを掴む溝口さんの腕を、本来曲がらない方向に軽く捻る。



「大丈夫。折れない程度にしてる。でも、あんまり動くとどうなるかわかんないかな」

「ふざけんな……はなせ!」

「ちゃんとお財布と使ったお金返して谷口くんのことも今後脅さないって約束してくれなきゃ離さないよ」

「見てないで助けろよ」

「ひっ……」



溝口さんが助けを求めるも

そばで見ていた女の子2人が、ひるんでいる。


わたしにではない。



「だ、誰」



――――突然現れた、大きな男に。

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