棗ちゃんはステキな恋がしたい
「……まずくない?」
「あたしらがトラブル起こしても責任とるのママだし」
「うち、親にバレたくない〜」
「っ、消してよオッサン!」
「消しませんよ。あなた方が、誠意を見せてくれるまでは」
「セイイ?」
「2つ、約束していただきたい。明日の放課後までに橋本さんに謝罪し財布と金を返すこと。そして谷口くんのデータを抹消すること」
「……くそっ」
「わかった。橋本の財布なら返す」
「お金使った分も入れておく!」
「謝罪は」
「する! するから……消して」
「谷口くんの弱味。今この場で消しましょうね」
「あとでやっとくし。もういいでしょ」
「できないなら君たちの動画をSNSにアップします」
「は?」
「この手のネタは善意悪意問わずまたたく間に拡散されますよ。たとえ学校が隠蔽に協力してくれたとしても、ご両親が味方になってくれたとしても、世間の多くはあなたたちを許さないでしょう」