棗ちゃんはステキな恋がしたい
向かった先は古びたビルだった。
「ほんとに、ここに一斗がいるの?」
「はい。うちの者に尾行させましたので間違いないでしょう」
「それじゃ、行ってくるね」
「本当に一人で行くのですか」
「うん」
狭い階段を上がり、廊下を進む。
一番奥の部屋の前には
ガラの悪い男たちが集まっていた。
「見かけねえ顔だな。迷い混んだのか?」
中学生には、見えない。
高校生かな。
一斗の仲間?
「おい」
「あの、わたし。……トモダチを探していて」
「ダチぃ?」
「ここに洲崎一斗くん、いますよね」