棗ちゃんはステキな恋がしたい
Ep.10 理由(ワケ)
やってきたのは、高架下。
一斗が誰かに電話をかけている。
相手は女の子っぽい。
「そうか。ああ」
"サキ"さん……?
「あ? しつけーな。俺なら平気だって言ってんだろ泣くな」
言葉はキツイけど優しさが滲み出ている。
それが自分以外の誰かに向けられるのを見るのは、どういうわけか、あんまり見たくない。
……なんだろう、この胸のざわめきは。
「余裕だっつーの。もう切るぞ」