棗ちゃんはステキな恋がしたい
それでも、一斗とまたフツウに話せて嬉しい。
「なんでタバコ持ってたの?」
「べつに」
「教えてよー。誰にも言わないから」
ため息をつくと、一斗が口を開く。
「あずかった」
「……あずかったの?」
「このあと抜き打ちで風紀点検があるから――って。受験生があんなもん教室で見つかればアウトだろうしな」
それじゃあ一斗は、3年の先輩を助けてあげたんだ。
やっぱり優しい。
「あずかったのは……サキさん、から?」
「お前サキのこと知ってんのか」
「ううん。わからないけど、教室まで一斗を呼びに来る先輩のうちの誰かなのかな~……って」
「そうだな」