棗ちゃんはステキな恋がしたい
「な……なに、それ。わたしは一斗と同じ地球に住んでるよ」
「うろたえすぎだろ」
だってわたし、ウソつくの、どうしても下手くそなんだもん。
「べつに家のハナシしたくねえならしなくていい。ただ。それならお前の箱入り感も納得だ」
銀髪さんにも箱入りちゃんって呼ばれてたなあ。
わたし、そんなに見るからに世間知らずなの?
「あの男」
「……あの男?」
「ナツメんとこの運転手」
ああ、坂田!
「どっかで見たことあるよーな」
まずい、用務員として紛れ込んでることバレるかもしれない。
「どこだっけな」
「親代わり、なの!」
「……は?」
「坂田はね。昔から、身の回りのこと全部してくれて。わたしのママがはやくに死んじゃったのもあって。まあ、それもぜんぶパパの命令なんだけど」