棗ちゃんはステキな恋がしたい
もっと、一斗のことが、知りたい。
「おかえりかさいませ、お嬢。今日の予定は――」
「習字とお茶とお花でしょ。わかってる。それより坂田」
「はい」
車の車内から、少し離れたところを歩く生徒たちの後ろ姿を眺めながら、坂田に問いかける。
「坂田は一斗のこと色々知ってるの?」
「色々とは」
「とぼけないで」
よく考えてみれば、わたしの周囲の人間を坂田が調査してないわけない。
「家族構成や生い立ち、及び過去と現在の女性関係等――その他諸々の個人情報なら把握していますがそれが」
さらっと怖いこと言う。
女性関係なんてどうやって調べたの。