棗ちゃんはステキな恋がしたい


――――って


バスに乗り込んで気づく。


となり、洲崎さんじゃん。

来ないなあ。


わたしだけ一人……っぽい。


せっかくのトモダチ作りのチャンスが。

バスの中で会話ゼロ!?



そんなあ。

泣きそう。



泣くな、わたし!

こらえろ!



「仮屋さんクールだよね」

「ずっと窓の外みてる」

「絵になるなあ」



洲崎さん~!

どうして来ないの!?


あなたが、わたしの記念すべき初めてのトモダチになってくれたかもしれないのに。



「となり行って話してえな」

「やめとけバーカ」



はあ。寂しい。



「お菓子持ってきた?」

「もちろん」


んん?

お菓子は持ってきちゃいけないって、しおりに書いてなかったっけ。


「それ食べてみたかったやつ!」

「交換しよ」



先生にバレないように、おやつ交換してる!?



「あ。先輩からラインきた!」

「見せて見せて」


スマホは原則使用禁止のはず。



「きゃーっ」

「しっ。静かに」

「だってえ」



うわー、いいなあ!

青春って感じ!!!

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