棗ちゃんはステキな恋がしたい
「汚い手でその方に触れないでもらいたい」
「なん……うぇええ!?」
あっという間に黒マスクの男が坂田に投げ飛ばされる。
ドサッと床に倒れ込んで痛そう。
でも、そのくらいで済むならマシだと思う。
「坂田、一斗が――」
「自分の蒔いた種です。なんとかするでしょう」
たしかに一斗はいろんなことを暴力で解決してきたのかもしれない。
自分から敵を作ってる部分もある。
それでも見捨てるなんてできない。
「わたし一人でも行くから」
「うちの者を向かわせてます」
「え?」
「すでに。方が付いているかもしれませんね」
誰かが止めてくれてるの?
「お嬢が現場に現れる方が問題が複雑になります。帰りましょう」
「……わかった」