棗ちゃんはステキな恋がしたい



スマートにチケット買って、それがいい感じの席で。

女の子を待たせないしお金出させないし。



「デートいっぱいしてるもんね」

「やいてんのか」

「……へ」

「してやろうか。ナツメとも」

「な……に……」

「デート三昧」

「……っ」

「想像した?」

「し、してない」



できない。

そんな想像力、ない!



「まあ。映画に来た回数は覚えてねーけど。俺から誘ったのはナツメが初めてだ」



上映前に一斗が放った言葉は、爆弾みたいにわたしに衝撃を与えた。


おかげで映画の内容が半分くらいしか入ってこなかったし上映後も頭から離れない。



どうして一斗はわたしとお出かけしようって思ってくれたんだろう。



……気まぐれ?

< 193 / 350 >

この作品をシェア

pagetop