棗ちゃんはステキな恋がしたい
「まさかこの俺が夏休みの宿題なんてものに手をつける日がくるとはな」
その言い方だと生きてきて夏休みの宿題に取りかかったことが一度もないみたいだけど本当に……?
「って、わたしの写す気満々じゃん」
「空欄を埋めることに価値があるんだろ。こういうのは」
「ちがう気がするよ」
ここは、街の図書館。
夏休みということもあって学生がとても多いようだ。
告白されて以来ろくに言葉を交わしていなかったのもおり、どんな顔して会えばいいかわからなかった。
……やっぱり、気まずい。
「なんで……今年はやる気になったの?」