棗ちゃんはステキな恋がしたい
なによ。
ちょっと忘れてただけじゃん。
知ってたもん。
あれの名前くらい!
「才色兼備って聞いてたけど。拍子抜けだな」
「あなたこそ。自己紹介の前にイヤミ言うなんて、どうかと思います」
「はあ」
わざとらしくため息をつかれる。
なんなのこの男の子……!
「そもそもに僕は君のこと許嫁って認めたわけじゃないからね」
ん?
「どうしても会えって言われて強引に連れてこられただけで」
黙って聞いていれば、言いたい放題。
そんなの、わたしだって同じだよ。
年上みたいだけど、なんだかすごく感じがわるい。