棗ちゃんはステキな恋がしたい


わたしの素朴な疑問に絶望的な表情を見せる、ミツルさん。


「……隠し撮り、したわけ……では」

「ふーん。隠し撮りしたんですね」

「どうしても君のリアルな姿を見たくて霧島にお願いしたんだ!」

「お願い……って」

「 でも、けっして、日常的なものだけで! やましいものなどない!」


弁明すればするほど自分を追い詰めている。

隠し撮りの時点でやましい。


「いつの写真ですか」

「そ……それは」

「そうだ。パパにお願いして全部回収してもらおうかな~」

「幼少期からごく最近のものまでだ!」



バッチリ成長記録つけられますね。



「できれば……赤子時代のものも手に入れたいのだが。なかなか難しく」



アルバム作る気ですか。

ていうか手元の写真、何冊分ありますか。



「気持ち悪いです」

「……死のう」

「え?」

「君に嫌われてしまえば生きている意味もない」

< 238 / 350 >

この作品をシェア

pagetop