棗ちゃんはステキな恋がしたい
「教えてくれてもいいのにー」
いやいやいや。
誕生してないよ、カップルは。
「やっぱり誕生日に距離が近づいたの? プレゼントあげるって張り切ってたもんね」
「……それが」
「あれだけ色んな女の子と遊んでた洲崎くんが一途になるなんて」
「……!」
「愛されてる~」
誕生日、一緒に過ごしたけどプレゼントは渡せなかった。
それどころかわたしは一斗をフッている。
言わなきゃ。
付き合ってないって。
わたしたちはトモダチなんだって。
「おはよ」
「っ、一斗」
あれれ。
遅刻しないで登校してくるなんて
それも、新学期……に……
「ど、どうしたの。その髪」
一斗の髪が――――黒い。