棗ちゃんはステキな恋がしたい



ところで一斗、どこにいるの?


もうお昼だよ。


まだ寝てるとかないよね……?


このままじゃ不戦敗だよ。



「ねえ。気になってたんだけど――それってお菓子?」



紙袋を見つけた岡部さんから問いかけられて、うなずく。



そろそろ配りたいと思っていたところ。

みんな食べてくれるといいんだけど……。



「実は。……マドレーヌ、焼いて」

「たべたい!」

「おい。あつかましいぞ。洲崎のじゃね?」

「ううん、みんなに食べて欲しくて持ってきたの! よかったら、どうぞ」



一人、また一人と

わたしの作ったマドレーヌを受け取ってくれる。



「まじで旨い」

「おい、お前。欲張んな。一人いっこまでだ」

「あ……たくさんあるから大丈夫!」

「仮屋さんマジ天使」



うれしいな。

みんなの笑顔を見ることができた。



「食わせんなよ」

「わっ」

「俺以外のヤローに」


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