棗ちゃんはステキな恋がしたい


「よーし。午後からも気合い入れてこ〜!」



第一種目、男女混合の綱引きが始まろうとしている。



綱の左右に男の子と女の子が交互に並んでいく。



「お前、オレの前な」

「っ」



わたしの後ろに入った一斗が、うしろから囁く。



ドキドキして力が出ないのだが!?



「やったあ~!」

「4組の勝ちだよ」

「男子たち洲崎くんに気合い入れられて本気出してたよね」

「来てくれてよかった~」



入学して間もない頃は不良だと恐れられていい加減な噂まで流されていたのが、嘘みたい。



「見た? 洲崎くんアンカーで追い上げて1位とったよ!」

「カッコいい~!」



うん。

めちゃくちゃカッコいい。

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