棗ちゃんはステキな恋がしたい


体格のいい男性が入ってくると、あっという間にミツルさんを担ぎ、保健室から連れ出してしまった。


「俺たちも戻るか」

「あ……うん」



一斗と一緒にクラスメイトたちの元へ戻る。



「仮屋さん! 大丈夫だった?」



わたしに気づいた岡部さんから問いかけられる。



「うん。わたしは大丈夫」

「実は……」

「どうしたの、岡部さん」

「仮屋さんが保健室に行ってるあいだに女子のリレー終わっちゃって」

「……!」



どうしよう。

ミツルさんが心配で、パニックになっちゃってた。



「ごめんなさい!」

「ううん、ちがうの」

「え?」

「仮屋さん、転んだみたいだし。ただでさえ、たくさん引き受けてもらってるからさ。どうしようかって相談してたら――代わりに西脇さんが出てくれたの」

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