棗ちゃんはステキな恋がしたい
Ep.1 ドキドキの入学式
信じられない。
校門から下足場まで、あっという間に歩いて行けちゃうなんて。
本当に、みんな徒歩通学してる。
車で送ってもらったのは、わたしだけのようだ。
噴水も芝生もエスカレーターも見当たらない。
これぞまさに理想の――ううん、
思い描いていた以上の
スクールライフの幕開けだーっ!!!
「何組だった?」
「私、2組」
「一緒じゃん!」
クラス発表の掲示物をながめ、喜びあう女の子たち。
同じ小学校から来た友人同士だろうか。
わたしは、この学校に一人も知り合いがいない。
寂しくなんて、ないよ。
自分で決めたことだから。
……パパの反対を押しきってまで。