棗ちゃんはステキな恋がしたい
「今日は、ブラウニーを作ります」
わたしの記念すべき第一回目の調理部の活動は、お菓子作りだった。
「仮屋さん、メレンゲたてたことある?」
「……いえ」
メレンゲ、とは。
「さっき、卵を卵黄と卵白にわけたでしょ」
「はい」
「卵白を、泡立てるの。かなり力を使うんだよね。ハンドミキサーがあればラクなんだけど、残念ながらうちの学校にはなくて。毎回苦労してる」
「買わないんですか」
「買えるものなら買いたいよー。でも、そんな予算もないし」
「……なるほど」
この話を坂田にしたら、すぐに必要なだけ仕入れてきそうな気がする。
「腕力なら自信あります!」
「ほんとに?」
「はい!」