棗ちゃんはステキな恋がしたい


ミツルさんを選べば、幸せになれるのかな。


少くとも争いは起きないだろう。



一斗は、わたしが中途半端な態度をとるから、待ってくれるんだよね。



きちんと拒絶すれば、わたしよりもっと素敵な女の子と出会って……。


わたしのいない世界で、いつか、幸せな家庭を築くことだってできる。



それが一番。



……そう頭で思っていても、心は複雑で。



「お嬢」



病院のロビーで坂田に連絡を入れようとして、思わぬ人物に出会う。



「ハルおじさん!」

「今日は学校の行事って言ってなかったか」

「うん。知り合いがケガしちゃって」

「そりゃ大変だったな」

「おじさんこそ、どうしたの」

「俺も知り合いの見舞いにな」

「そっか」

「もう帰るとこなんだが。ついでに送ってってやろーか」

「いいの?」

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