棗ちゃんはステキな恋がしたい
Ep.20 夜は危険
「待って……!!」
――――ダメ
「申し訳ありません。いくらお嬢の頼みでも聞くことはできかねます」
いつもなら、きちんとセットされている髪が、雨でくずれていて別人のよう。
「人殺しに……なっちゃう」
「なにを言っているんですか。もうとっくに汚れ仕事には慣れていること、勘のいいお嬢なら気づいていたでしょう?」
坂田は、時折
とびきり冷たい表情をみせることがあれば
夜遅くに血のついたシャツを着て帰ってきたこともある。
「ハルおじさんを撃たないで。お願い」