棗ちゃんはステキな恋がしたい



坂田がピストルにかけた指に力を入れる。



「あんがとな」

「いやあーーーッ!!!」



――――ダンッ



銃声が、森に響き渡る。



おじさんは、生きている。




……弾丸は、どこ?




「たった今ハルミは死にました」



坂田がなにかをおじさんに手渡す。



「……お前」

「それらをどう使うかは。あなた次第です」

「こんなことしたってバレたらお前もタダじゃ――」



なにを渡したの?



「お嬢が泣くところを見たくはないので」

「……ハハッ……。マジで丸くなったな、お前」

「……坂田」

「いいですか、お嬢。今度こそ本当にお別れです」

「うん。……わかってる」

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