棗ちゃんはステキな恋がしたい
『今すぐ抱きしめたい』
「……一斗」
『もっと俺の名前、呼んで欲しいし。呼びてえ』
そんなことしたら、わたし、どうなっちゃうかな。
『待つって決めた。けど。お前の素直な気持ちを聞かせてもらえねーのは……。正直つらい』
――――ごめん。
あんな光景を見たあとじゃ
自分の気持ちにフタをするしかなくなる。
もし、坂田が一斗に銃口を向けるようなことになったら、わたしは選べない。
どちらも大切にしたい。
「西脇さんに……お礼、言わなきゃ」
『ナツメ』
「代わりに走ってくれたもんね」
『紗奈のことなんだけど』
――――呼び捨て
『お前に言うべきことがあって』