棗ちゃんはステキな恋がしたい
Ep.21 想い
「棗」
翌朝、学校に行く前に
パパに呼び出された。
「おはよう」
白髪まじりの黒髪を
たいていオールバックにしていて
家では決まって和服姿の、パパ。
「新しい環境で苦労も多いだろう。困ったことがあれば言いなさい」
「大丈夫。すっごく楽しいよ」
バレてない、よね?
一斗のこと。
「恋をしているんだな」
「…………」
え!?
「それも。禁断の愛か」
「どうしてそれを……あっ」
自白してしまった。
「充くんも棗の学校へ編入したと聞いたが。彼とは上手くいっていないのか」
「その話なら白紙にしてって頼んだよね」
「彼は悪い子ではないだろう」
「……いい人だから結婚するの?」