棗ちゃんはステキな恋がしたい


ねえ、パパ。


どうして地球には大勢の人がいるのに

恋をしたい相手は一斗しかいないって思っちゃうのかな。


「利害の一致」

「……!」

「充くんと結婚すれば。双方に利益がある」

「そんなの大人の都合でしょ」

「そうだ」

「パパはわたしに愛のない結婚をして欲しい?」

「いいや」

「……じゃあミツルさんとの関係は解消してくれるの?」

「今すぐその願いを聞き入れることは可能だ」

「ほんと?」

「充くんには申し訳ないが――棗が結婚できる年になったとき、互いに心に決めた相手が他にいた場合にはこの限りではないと。そう決めていた」

< 335 / 350 >

この作品をシェア

pagetop