棗ちゃんはステキな恋がしたい
坂田が、学校の近くに車を停める。
「どうされました。降りないのですか」
「んー……」
パパは、わたしが家を出てもいいって思ってるのかな。
そりゃあ普通とは縁遠くて縛られることも多いけど、それでも楽しく暮らしてきた。
「わたしは普通に憧れて今の生活が気に入ってるけど。パパも坂田も大好きだよ」
リクも、ヤマも、他のみんなも
ほとんど人相悪いけど優しいし。
「学校で洲崎一斗が待っているんじゃないですか」
「……うん」
「ミツル様も」
「そうだ。ミツルさん、教室までエレベーターで上るのかな」
「そうでしょうね」
「霧島さんが付き添うと思う?」
「おそらくは」
「じゃあ、手伝わなくても大丈夫かな」
「お嬢が来るの待っておられるかもしれないですね」
「んー。どうだろう」