棗ちゃんはステキな恋がしたい



――――?



「悪かったと、思ってる。マジで」



西脇さんがなにを謝っているかが、わからない。

むしろ感謝したいくらいなのに。


わたしの代わりにリレー出てくれたから。



なのに、西脇さん

……さっきから震えている。



「ちょっとビビらせたかっただけで。まさか、ケガするなんて思ってなかった」

「言い訳すんな」

「一斗をとられたくなかったんだよ!」



西脇さんが、涙を流す。



「泣いても同情しねーから」


ケガ……って。


まさか。



「昨日倒れたポール。紗奈が倒した」

「あんたが一斗のこと独占してんの。……許せなかった。どうしても」

「その責任とるために、紗奈に走らせたってわけだ」

「一斗はポールの事故が故意だって気づいてたの?」

「ああ。紗奈の様子がおかしかったからな」

< 340 / 350 >

この作品をシェア

pagetop