棗ちゃんはステキな恋がしたい
一途が、階段に座る。
わたしは動くことができない。
「兄貴が調べてた組織のボスの名前が。たしか。ナツメと同じ名字で」
「…………」
「仮に、孫娘なら。俺と結ばれたがらない理由になる。これまでの言動とも、すべてが繋がると。やたらと過保護な付き人は――その筋の人間なんだろ」
だから……サヨナラって、言ってる?
「ごめんな」
今の『ごめん』は
好きになってごめん、の。
ごめん?
「一人で悩ませて」
「……え?」
「巻き込めよ。俺のこと」