棗ちゃんはステキな恋がしたい
嘘、ついてないのに。
そんなつもりないのに。
言いたいことはあるはず、なのに
言葉が出てこない。
「図星かよ」
「あと、やっておいてくんない?」
「家では掃除なんてしないでしょ」
「社会勉強だよー、お嬢様」
「行こ」
ポツリと階段に取り残されて、立ちすくむ。
そうしている間にも時間はすぎていく。
しっかりしろ、わたし。
きちんと終わらせて、はやく、教室に戻らなきゃ。
『無理じゃないかな』
「……っ」
みんな、本当は迷惑してたのかな。
少しは喜んでくれたと思ったのに……
気を使わせてたの?
トモダチ作り、ふりだしに戻っちゃった。
ううん、ふりだしどころか、
これじゃあマイナス……
「なんで言い返したりすっかな」
上から声が聞こえて
驚き、見上げる。
この声は……
「お前。バカだろ」