棗ちゃんはステキな恋がしたい



「で。ナツメは、俺とサボることにしたと」


しまった。

完全に、チコクだ。


「い、今から向かう!」

「遅れた理由どう説明する」

「掃除に思ったより時間がかかったことに……する……」

「ナツメが言えば。信じてくれるかもな」

「そうだ。一斗も、一緒に掃除してたことにして戻ろ?」

「その言い訳は俺にはキツいだろ。学校の掃除なんか一度もしたことねえぞ」

「一度もないの? たしかに……わたしも、この学校に来るまでは掃除は生徒がやるものだと思わなかったし」

「やっぱりナツメってお嬢様だよな」

「っ、ちが……!」


けっして"お嬢様"ではない。

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