棗ちゃんはステキな恋がしたい


「お嬢が授業を抜けて逢い引きとは……」


帰り道の車内では坂田がブツブツと小言をいっていた。


「なに想像してるか知らないけど一斗とわたしは坂田が思うような関係じゃないよ」

「呼び捨て……っ」

「坂田のことだって呼び捨てしてるでしょ」

「歴史が違いすぎます」

「ねえ、間違っても一斗の前では"お嬢"なんて呼ばないでね?」


用務員に扮した坂田は、一応、わたしのこと知らないフリしてくれたけど。


「約束できません」

「そこはしようよ」


せっかくトモダチ1号ゲットしたところなのに。

台無しにされちゃ困る。


< 55 / 350 >

この作品をシェア

pagetop