棗ちゃんはステキな恋がしたい
「やば」
(なんだろう。視線を感じるような……)
最後の方に来たから目立っちゃっているのかな。
落ち着こう。
平常心、平常心……
「あの子、知ってる?」
「ううん」
ヒソヒソとなにか言われている。
なに?
「めっちゃ可愛い」
「髪サラサラ」
ええっと……わたしの席は……
どうやら机は窓際から出席番号順に並んでいる模様。
窓際のいちばんうしろの席までいき、着席する。
教室全体が見渡せる、いい場所である。
窓の外に視線を向けると校門のあたりまで見えて、それがとても新鮮。
「ほっそ」
「顔ちっちゃーい」
「どこ小だろう」
やっぱり視線を感じる。
「声かけてみる?」
「え、無理」
……わたし、まさか、怖がられてる?