棗ちゃんはステキな恋がしたい
「……あれ?」
数日後の朝。
「おかしいな」
靴箱に上靴がない。
金曜日じゃないから持って帰っていないのに。
誰か、まちがえたのかな。
「お嬢」
「……!」
いつの間にか坂田がわたしの背後に立っていた。
「どうぞ」
「へ」
坂田が手にもっているのは、紛れもなく、わたしの上靴。
「どこにあったの?」
「掃除用具入れの上に」
……そんなところに?
なんでだろう。
わたしの身長じゃ、見つけられなかった。
「誰かが落ちてたの拾って置いてくれたのかな」
上の方にあったってことは、男の子?
「って、はやく行ってよ……!」
二人でいるところ誰かに見られちゃう。
作業着でなくスーツ姿なの目立ちすぎだよ。
いや作業着でも坂田がいたらそれだけで注目されちゃう!
「お嬢」
「なに」
「やっぱりこの学校は。お嬢には合わないのでは」
…………!
「今からでも編入手続きは可能ですよ」