棗ちゃんはステキな恋がしたい
「つーか。お前だけ戻ってくんの、はやくね」
そう言われて周りを見渡せば男子はチラホラ教室に戻ってきているけれど、女の子の姿はない。
「わたし着替えるのがはやかったみたい」
みんな、まだ更衣室で楽しくおしゃべりして身支度を整えているのだろう。
クシで髪をとかしたり鏡見たり。
なるべく急いだ方がいいと思ってダッシュしたけど余裕すぎた。
「ほどかねーの」
「え?」
「髪」
「……うん」
自分で結べないから
とは、言いたくない。