販売員だって恋します
「では、行きますか。行きながらご説明します」
「はい。……あの、お名前伺ってもいいですか?」
「お伝えしてませんでした?」
「ええ」
くっと彼から笑い声が漏れる。
んん……?
「あなた、名前も知らない人についてきちゃったんですか?」
あはは……と遠慮なく笑われて、由佳はむっとしてしまった。
困った様子だったから、お助けしようと思ったのに笑う?
まあ、確かに知らない人についてきちゃったと言えば、そうなんだけど……。
眼鏡の奥の笑って、ふっと細められた目が、ひどく柔らかい気がして、由佳の心臓はドキンと音を立てて跳ねた。
「大変失礼しました。私、こういうものです」
スーツの内ポケットから、出した名刺入れから、綺麗な所作で名刺を取り出した彼は由佳にそれを渡す。
「秘書室大藤久信さん……。え?デパートの役員秘書の方ってことですか?」
「はい」
大藤はにっこりと笑った。
「はい。……あの、お名前伺ってもいいですか?」
「お伝えしてませんでした?」
「ええ」
くっと彼から笑い声が漏れる。
んん……?
「あなた、名前も知らない人についてきちゃったんですか?」
あはは……と遠慮なく笑われて、由佳はむっとしてしまった。
困った様子だったから、お助けしようと思ったのに笑う?
まあ、確かに知らない人についてきちゃったと言えば、そうなんだけど……。
眼鏡の奥の笑って、ふっと細められた目が、ひどく柔らかい気がして、由佳の心臓はドキンと音を立てて跳ねた。
「大変失礼しました。私、こういうものです」
スーツの内ポケットから、出した名刺入れから、綺麗な所作で名刺を取り出した彼は由佳にそれを渡す。
「秘書室大藤久信さん……。え?デパートの役員秘書の方ってことですか?」
「はい」
大藤はにっこりと笑った。