販売員だって恋します
「由佳、誰が迷惑なんて言いました?」
大藤の低い声。
けれど、それは今まであまり聞いた事のない響きだ。

怒っている?
こわごわ、由佳は顔を上げた。

あ……れ?
大藤の見たこともないような、甘くゆるりと笑う表情。

片手で強く由佳を抱いて、片手で由佳の顔にさらりと触れる。

「本気にはならない、って……。」
「そうですね。」

そうですね、なんて言いながら、この顔ずるくないですか?!

先程まで泣きそうだったけれど、今は別の意味で泣きそうだ。

ちょっと待って。
なんで、こんなに甘々なの?!

とっても、愛おしいものを見る目だし、いつもの冷たさなんてどこに行ってしまったのか、って感じだし、それに、絶対逃がさないって感じの腕が……嬉しすぎるんですけど。

「由佳……どうしたんです?そんなに可愛い顔して。」
「え……と、大藤さん?」
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