販売員だって恋します
「何度言わせるんです?俺の名前、知っているでしょう?そうですね、今度名前を呼ばなかったらお仕置きしましょうか?」

……っち、近い!顔が、近いから!!
ほら……と唇に、ごく軽くキスをされる。

「久信、さん……。」
「ん?」

うわ……。
呼んだ方が照れてしまうような、甘い返事。

「よく出来ましたね。もう一つは?」
……っこの人!!

「久信さん、大好き。」
「由佳、堪らない……」

今度こそ唇はしっかり重なる。

今までのような探り合うようなキスではなくて、お互いがお互いを求めると、こんなにも深くなって、こんなにも官能的になるのか、というような、全てをもっと、もっと、と欲しくなってしまうようなキスだった。

むしろ、そのあまりの甘さに膝が折れそうになる由佳だ。
「ん?立っていられない?キスだけで?」
「ん……。」

つい、きゅっと大藤の胸に縋ってしまう。
「由佳……知りませんよ。もう離しませんから。」
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